集中治療医のStudy Melbourne

麻酔科系集中治療医が家族4人でオーストラリア・メルボルンへ博士課程留学!初めての海外研究生活、メルボルンライフの模様をお送りします!

PhD生活1ヶ月半

5月頭にPhDコースがスタートして約1ヶ月半が経過。

新生活のセットアップもだいぶ落ち着き、ラボでの生活にも慣れてきて、ようやく本格的に研究に向き合える環境が整ってきました。

 

そしてつい先日、ラボミーティングでメルボルンに来て初めてのプレゼンテーションを終えました。

 

今回は自分のラボとPhDについて書きたいと思います。

ラボの概要

私が所属するラボは医学部が持つ研究所内の一角にあります。精神・神経系の名を冠する研究所の中にありながら、集中治療医学系のテーマで研究をしているやや異色な立ち位置のラボです。

 

ラボメンバーは研究者、その他スタッフを含めて15人ほどで、2年前に初めて訪問してきた時と比べると規模は大きく拡大中。PhD学生は私を含めて4名もいます(これにもびっくり)。

 

国際色は豊かでオージーやNZ出身の人はもちろん、ラボのトップはイギリス(教授→引退間近)から、新しいトップはスリランカ、他にもシンガポールエチオピアベトナムなど様々。さすがオーストラリアという感じです。

 

ラボとしてやることは実験をしてその成果を論文にしてpublishするということの繰り返しです。(当たり前か)

 

実験自体は一人では完結しない大掛かりなものが多く、(ポスドクやPhD学生がそれぞれプロジェクトを持つという形ではあるものの、)ラボ全体で計画を立てて、ラボメンバーや外部の研究者(医師含む)が協力して進めていくという感じです。

 

ラボの特長としては、臨床医学にかなり近い基礎実験をやっているという点で、研究をデザインする段階で臨床医の意見を取り入れたり実際に実験に臨床医が参加したりもしています。

PhDコースの概要

PhDは正式には大学の「Postgraduate Research」というコースになります。期間は3年〜3年半。

 

特に座学のdutyはなく(大学によってはあるらしい)、やるべきことは1年ごとの審査を受けること、そして最終的にThesisを提出してその審査にパスすることです。

 

私の場合コースのsupervisorは3名(新しいラボのトップがchief+旧ラボヘッドと外部のICUドクターがcosupervisorという形)、advisory committeeも3名。

supervisorは直接の指導教官で、advisory committeeというのはこちらから定期的に成果を発表して助言・評価をもらうシステムのようです(正直よく分かっていない←)。

 

それ以外だと定期的に研究所の複数のラボが集まる形式のセミナーがあったりmentor systemがあったり、大学が主催するセミナー(academic skillの向上やキャリア形成を目的としてものが多そう)があったり、という感じですが全貌はいまだ掴めていません。

Thesisと執筆活動

上にも書きましたが、PhDといえばThesis。Thesisの存在なくしてPhD生活は語れないと言っても過言ではありません。

 

私にとっては、Thesisを通してacademic writingを学ぶことがPhD留学の主目的の1つであり、同時に一番の不安要素でもあります。

 

どうやらThesisには

 ①それ単体できちんと構成を組んで執筆するもの

 ②publishした論文をつなぎ合わせる形でThesisにするもの

の2種類があるそうで、私の場合は②が良いでしょうとsupervisorからアドバイスされました。

 

要は、とにかく研究成果を論文という形で世に出すことに集中すればよい、ということです。あくまで①が標準で②は裏技的なものかと思っていましたがそうでもないようです。

 

ただし、Literature reviewだけはきちんと行う必要があり、これを書き上げることが1年目の最低ラインになりそうです。

 

そしてこのLiterature reviewについてもnarrative reviewの形でpublishできれば理想的、という話です。(実際ラボにいるPhD学生の1人はこれを果たしています。)

 

ちなみに私が任されたプロジェクトは大きく2つ。1つは準備中、1つは既に始まっています。結果が出るまでに1年以上はかかる気がするので、果たしてどの段階で論文化にたどり着けるか...。とにかく地道に頑張るしかありません。

 

と偉そうに書いてますが、現状はまだ研究者見習いぐらいの感じで生産的なことはほとんどできておらず、

最初の1ヶ月はPhDの先輩?とポスドクの人に付いて回って実験の準備、機器の使い方、ラボのルールなどを覚える毎日でした。(研修医だった頃を思い出しました。)

 

机に向かって書き物をする時間はほとんど取れず。やっとここ数週間で少しずつそれができるようになってきた、という感じです。

 

今はThesis全体の(実質はliterature reviewの)headings, subheadingsの原案を作りsupervisorに提出し、チェックを待っている状態。

 

supervisorには「お互いの時間を有効に使うためにも、特に最初のうちは少し書いたら見せて、その都度フィードバックするから」と言われています。英語にもacademid writingにも不安のある私にとってはかなりありがたい提案です。

ラボミーティングで自分の研究計画をプレゼン

つい数日前には、この1ヶ月半で一番のビッグイベントが!

ラボミーティング(2週間一度開催される)で自分のPhD期間における研究計画を発表しました(発表20分、質問10分)。

 

ボスとのミーティングでプロジェクトについては話し合っていたので、それを元に文献を読んだり、少ないながらこの1ヶ月半で得られた実験データを解析してプレゼンを作成(今回は内輪でのプレゼンなのでsupervisorにはあえて途中チェックを受けずに作った)。

 

こちらに来て初めてのプレゼンでしたが、、、結果は、、、まあ予想通り撃沈!

 

英語については、

プレゼン自体は原稿をあらかじめ準備できるので、本番はとにかくはっきりと喋ることだけ心がけて、それはそれで良かったのですが、

複数あった質問に対して、ほとんどまともに答えられず。これは今後もかなり問題になりそうな予感です。

 

そして、やはり研究内容自体に対する理解もまだまだ足りていないと実感。こっちの方が大事なことかもしれません。こういうのを英語のせいにしてはいかん、きちんと勉強しないとな、と再認識させられました。

 

あえて良かった点を挙げるとすれば、実臨床における背景や意義については自分の知識や経験を活かして自信を持ってプレゼンできたこと。そして適当に入れてみたいくつかのジョークで笑いを取れたこと←。

 

ボスからは、内容について細かい指摘を受けたのと、プレゼン全体として「もう少し聞き手の顔や目を見て話すように」(自分では過去一で頑張ったのだが全然足りていないようだった)、「初めてのプレゼンでがっちり聴衆を引き込めていた点は素晴らしかった」といったようなものでした。

 

「ここの点は素晴らしかった」「改善すべきところはここ」と非常にストレートに指摘してくれて、かつ全体としてはポジティブなフィードバックに仕上がるように配慮していて、これは相当ありがたいなと感じました。(自分が上の立場になった時にぜひ見習いたい。)

 

ちなみにプレゼン中は、ボスからの視線をずーっと感じていて、スライドだけでなくプレゼンターの様子を非常に良く観察しているようでした。

 

日本にいる時からプレゼンはあまり得意ではなかったのですが、特に誰かから指摘・指導を受けたこともなかったので、留学期間を通してプレゼン能力も向上させていければいいですね。

 

プレゼンが終わった後は泣きたい気持ちになりましたが、ラボメンバーから「ナイスだったよ!」「面白いプレゼンだったよ」と慰め?の言葉をもらって、嬉しかったです。

 

ということで、、、

今後も定期的にプレゼンの機会がやってきて、その度に心が折れそうですが、なんとか乗り越えて成長できればと思います。

終わりに

PhD生活、まだ始まったばかりですが、予想通りor予想以上に厳しい戦いです。

 

無事戦い抜けるのか?苦しんだ先にどんな景色が待っているのか...!

 

しばらくはひたすら耐え忍ぶ日々が続きそうです。

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