集中治療医のStudy Melbourne

麻酔科系集中治療医が家族4人でオーストラリア・メルボルンへ博士課程留学!初めての海外研究生活、メルボルンライフの模様をお送りします!

1年の審査を無事通過!

1ヶ月半ぶりの投稿。

数日前にPhD confirmation(博士課程開始1年の審査)が終了して一段落。ようやく筆を取る余裕ができた。

 

ということで今回はPhD confirmationについて。

PhD confirmationとは?

博士課程3年(実際には多くの人が延長して3年半)の間に全部で4回審査があるのは以前にも書いた通り。

①Pre-confirmation:半年

②Confirmation:1年

③Progress review (Mid-candidature review):2年

④Progress review (Final oration):3年、最終審査

taku-fcb.hatenablog.com

で、今回はその2回目。4回目の最終審査が一番重要なのは言わずもがなだが、その次に大事なのがこのPhD confirmationなのだ。

 

大学のHPには以下のような記載がある。

Confirmation is a major milestone in your candidature designed to evaluate of the progress in your research project, see that your work has met expectations, identify any problems with your progress and help set the direction for your successful completion. When you first start your degree, you are considered to be on probation until you have had a satisfactory confirmation meeting outcome.

簡単にいうと、「あなたがPhD学生としてふさわしいかどうか」「十分質の高い研究をPhD期間中にきちんと終えられるか」を審査されるというもの。Confirmされて初めて正式なPhD学生(PhD candidate)になれるのであって、それまではあくまで試用期間なのですよ、と。

 

審査基準としてはPre-confirmationとそれほど変わらないが、より高いレベルのアウトプットを要求されるのがConfirmation。

 

とはいえ、学生が真面目で指導教官がマトモであれば問題なく通過できるのは事実。

そして私もきちんと頑張って無事通過できました、という単純な話。それでも実験の合間を縫って準備するのは結構大変だったし、終わった時の達成感もそれなりに大きいものだった。

レポート作成:Literature reviewの仕上げ

細かい事務手続きは置いといて、求められるのはレポートの提出とプレゼンの2つ。

 

レポートはメインのliterature reviewに加えてmethodsの簡単な要約、進捗状況の要約、3年間の研究計画をまとめた時系列グラフなどをまとめたもの。

 

ということでこれまでも何度か執筆の苦労を綴っていたliterature reviewも今回で一区切り。

 

一旦最後まで書き上げて指導教官2人に送ったのが3/17。今回はこれまでより少し早い2週間弱で二人からのfeedbackが返ってきた。

 

修正して4/7に外部指導教官と同じラボのポスドクにも送信。

 

外部指導教官=集中治療医学会のレジェンドは「まあいいんじゃない」という感じでいくつかのフィードバックと共にすぐに返信をくれた。

 

ポスドクからは4/17夜に返信が来た。内容というよりは書式とか略語の使い方とか、細かいところまでチェック・修正が入った。ありがたや。ちなみに、このポスドクには普段からかなり世話になっていて、近いうちに指導教官のリストに加わる予定。

 

それから2日ほどで細部まで修正、そしてmethodsの要約や進捗の要約を適当に素早く作成して締め切り当日の4/21 20時ぐらいに無事提出。やったー!

 

もちろん100点には程遠い出来で、自分で読んでもイマイチな箇所がいっぱい。これからも手直ししないといけない。

それでも時間をかけて書き上げたことは誇っていいはず。書き始めた頃と比較すれば随分進歩したように思える。ここは素直に喜んでいいところだろう。

 

このLiterature review、一番の理想は一部改訂してreview articleとしてpublishすること。

これについて指導教官たちは「よく書けてるけど出版するには何かしらの新規性、メッセージが必要。まずは自分の実験結果をpublishしてそれを踏まえたreviewにすればいけるかな。」という意見。Advisory committeeからは「もう少しフローチャートとか入れるとより良くなる。でもよく書けてるから是非review articleにしてください。」とのコメントをもらった。

半分は定型文的なコメントだと思うが、それでも苦労して書いたものがある程度認められたのはありがたいこと。

 

ということで血と涙の結晶は無事成仏?しました。

 

このライティング→フィードバック→修正の繰り返し、これは大学院生の特権だと思う。もちろんGrammarlyとかDeepLとか使って最低限の文法ミスはチェックしてから提出しているが、それでも英語のことも内容のことも複数の指導教官から山ほどフィードバックをもらえる。英語が第二言語かつAcademic writingのトレーニングをきちんと受けていない自分にとってはこの上ない環境だ。

 

「海外大学院にきてよかったことは?」と聞かれたら、この手厚い指導体制が間違いなく一番。まあ当然精神的な痛みは伴うわけだが...笑

プレゼン準備

プレゼンはPre-confirmationの時と同様、ミーティングで20−25分で研究の概要と途中経過を報告するもの。

 

Pre-confirmationの時は準備不足で臨んだPractice talkボコボコにされて軽くトラウマになった。

 

あれから半年。

英語にハンデがある分きちんと準備しなければいけないことを学び、色んな人の発表を聞き、他のPhD学生や若いポスドクがボコされるの見て、そして何より自分自身が研究について深く理解するようになり、前回のようにヒドいことにならずに済んだ。

 

今回はラボメンバー全体へのPractice talkの前に、指導教官たちだけの前で一度発表をした。もちろん細かいフィードバックはあったが、大筋は問題なしとのコメントだった。

Confirmation meeting本番

そして迎えたミーティング本番。

 

20分強のプレゼンは無事終了。自分の中では80点ぐらいの出来で、かなり良い方。

 

いくつか出た質問にはまあまあ答えられたかなという感じ。想定してた質問は出ず、もっと基本的なことを聞かれた。英語力の問題で、しっかりと準備されたプレゼンに比べて途端にカタコト感丸出しになってしまうのは仕方ない。

 

その後一旦外に出されて、指導教官とAdvisory committeeだけで話。5分ほどして今度は指導教官たちが外に出て、私とcommitteeだけで話。この辺はpreconfirmationの時と同じ。

 

指導教官と折り合いが悪かったり、言いにくい相談事があったら申し出ることになるのだが、特になかったのであっさり終了。

 

今度はcomittee chairがパソコンを操作してオンラインフォームを埋めていく。

 

そして最後に合格ですね、Congratulationsと言われてその後少し雑談して終わり。

ミーティングは約1時間で終了した。

まとめ

無事審査を通過して正式にPhD candidateになりました。ちなみに英語ではI'm confirmed.というらしい。

他のPhDがconfirmされた時もそうだったが、ラボの色んな人からCongratulationsと言われて握手を求められたりして、「ああそれなりに大きなイベントなんだなぁ」と改めて実感した。

 

たかが通過点、されど通過点。

この1年苦労して積み上げたものが目に見える形になったことが何よりの励みになった。

 

PhD confirmationの話、おしまい。