今回は最近の研究の様子を。
最近は実験自体のスケジュールはそこまでキツくないが、その代わりに論文の執筆、学会アブストの準備、メールの返信、倫理審査書類やインシデントレポートの準備など、細かいタスクがいっぱい。
管理しきれなくなってきたのでiPhoneのReminderでTo-do listを作ってそれをひたすらこなすスタイルを導入した。まだ初めて1ヶ月ぐらいだけどこれが結構いい感じ。1つ1つは大したことないタスクでも複数個やれば1日の終わりにそれなりの達成感を得られる。
日本にいた時も一時使っていたけど、結局その時はリストを作るのに時間取られるからやめた。今回はどれぐらい続くだろうか。
実験
PhDの2大プロジェクトのうち1つは、いよいよ一本論文が書けそうなところまで来た。
メインの実験が良いところまで進んだというだけで、採取した検体を外に検査に出したり、自分で処理して測定したりといった作業があるのでまだまだ先は長いのだが、これはかなりのプラス要素。
一方で、悪いニュースも。このプロジェクトに関わる実験のうち、昨年終えた分の検体を外に検査に出していた。その結果がようやく返ってきたのだが、、、それが相当いまいちだった。何がいまいちって、結果が予想外とかそういう話ではなく、そもそも測定自体が上手くいっていない疑惑。
最悪、1年ちょいの労力の3-4割が無駄になるかもしれない。それかさらに追加実験が必要になってプロジェクトの終わりが遥か後ろにずれ込んでしまうかも。どちらになっても相当シンドい。ああ、、、。
「科学実験で一番大事なのはベースラインの測定だよ」と一番ベテランの指導教官(旧ボス)に何回も言われたけど、それを身をもって体感しているところ。
実験って一筋縄ではいかないなあ。プロトコルを見直したり、もう少し細部に気を配ってやったり、そういうことが必要になりそう。
もう1つのプロジェクトは、正指導教官(以下、若ボス)とも相談して、今やっているプロジェクトがひと段落するまで完全放置の方針に。こちらは年明けぐらいから本腰を入れてやることになるのかな。PhD期間中に終わるのか少し心配だけど今は考えないことにしている。
初めての論文、もうすぐSubmit
去年終わりに死ぬ気でやった実験の一部を、この1ヶ月で論文として書き上げてまもなく投稿できそう。前回研究について記事にした時に、
勢いで「6月末までに書き上げます!」と言ったけど多分無理。どうしよう。
って言ってたやつ。
6月頭ぐらいから指導教官の1人(集中治療界のレジェンド、以下レジェンドボス)が急にすごいプレッシャーをかけてくるようになって、尻を叩かれまくって、死ぬ気で仕上げた。
今回はレジェンドボスがコレスポなので、彼と直接のやり取り。(正指導教官の若ボスは必要に応じて横から援護射撃してくれる感じ。)
レジェンドに自分のう◯ちみたいな原稿を添削してもらえるなんて恐れ多いなあ、怖いなあ、でもありがたいなあ、という複雑な心境。
しかし苦労して書いて金曜の15時に送信して、これでちょっと穏やかな週末を迎えられると思ったら18時にフィードバックが返ってきてLook forward to a document with all that early next weekって言われた時はさすがに震えた。
若ボスには「Keep him happy。今後のキャリアのためにも彼を味方につけといた方がいいよ。頑張れ、ハハハ(半分他人事)」と言われたし、日本人なら締め切りは守るっしょ、的な勝手な使命感にも駆られて頑張った。子供から風邪をもらって熱出して数日寝込んだ時も、実験はぜーんぶスキップするかラボの同僚にお願いしたけど、論文だけは書いて送り返した。死ぬかと思った。
途中、"I have made lots of changes (see attached), which I haven't tracked to avoid chaos :)"というメッセージとともに「俺のオリジナルの文章どこいった?」レベルの原稿が送り返されてきたこともあったけど←、無の境地で食らいついた。
先週のうちにレジェンドボス+私(+若ボス)で原稿を仕上げて、共著者全員に最終原稿を送った。もらったフィードバックをもとに修正を加えたものをレジェンドボスに送信したのが今日の午後。最終確認でOKが出ればいよいよ投稿することになりそう。
ターゲット雑誌はIF3.3ぐらいの雑誌。マイナーな部類に入る雑誌だと思う。アクセプトされるのかは、、、正直予想がつかない。PhDとは直接関連がないとはいえオーストラリアに来て初めて投稿する論文だし、あまり長旅にならないことを願うばかりである。
日本の学会のアブストラクトを提出
もう1つ直近の大事なタスクが日本で開かれる学会へのアブストの提出。
元々「1年の審査終わったら日本に一時帰国したいっす」って若ボスに相談したら「9月まで待てる?東京で学会があって、俺は行けないんだけど、そこで発表すれば旅費の補助も出るしいいと思うんだけど」と言われて飛びついたやつ。
規模は小さいながら立派な国際学会、でも参加者は多分半分以上日本人、といういい感じの学会。一時帰国の口実にぴったり、とは言っていない。
こちらはPhDのメインプロジェクトの結果の一部分を発表予定で、アブストの提出期限が6月末、つまり明日だった。
こちらは若ボスとのやり取りで進めていった。
10日ぐらい前から準備を初めて、"If I was a judge, I would mark this poorly."(俺が審査する立場だったら点数超低いよ。)なんて厳しめのコメントをくらいながら何度か修正を重ねて、共同研究者の何人かからもフィードバックをもらって、最終的には若ボスもご満悦の仕上がりなった。
ということで期限1日前の本日、無事提出!
日本行きのチケットを勝ち取った気分になって達成感に浸る。
もちろん、アクセプトされなくても日本には一時帰国する、絶対。むしろそれならそれでノンプレッシャーで滞在を楽しめるからいいかもしれない、と邪なことは決して考えていませんよ。
採否通知は8月初旬の予定。無事アクセプトされますように。
まとめ:少しずつ実を結ぶ...?
1年ちょいが経過して、これまで苦労してやってきた研究の成果を少しずつアウトプットできる段階にきたと言えるかもしれない。これは素直に喜びたい。
ボスたちのタフなコメントに嫌な汗はたくさん出るが、「ありがたや、ありがたや」と呟きながら無の境地に至れば、全然大丈夫。(むしろ日本にいる時こんなので後輩の指導モドキみたいなことやってたの大丈夫だったのかな、と今更ながら心配になる。)
論文の早めの着地、アブスト採択、どちらも上手くいきますように。