集中治療医のStudy Melbourne

麻酔科系集中治療医が家族4人でオーストラリア・メルボルンへ博士課程留学!初めての海外研究生活、メルボルンライフの模様をお送りします!

学会発表

今回はアデレードで学会発表してきた話。ありがたいことに初めて賞をもらった。

3学会の合同カンファレンス

参加したのはオーストラリア・ニュージーランドの3学会合同カンファレンス。全体では150人ぐらいの中規模?の学会。うちのラボからは7人が参加していて一大勢力だった。

 

学会の舞台はAdelaide HillというワイナリーエリアにあるHahndorfという小さな街。かつてはドイツからの移民が多く住んでおりドイツ感のある街並みが特徴らしい。

www.visitadelaidehills.com.au

街の中心から少し外れたところにDiscovery Parks(コテージ風の宿泊施設、ジム、プールなどの複合施設)があり、昼間は会議室で学会→夜は敷地内のコテージに宿泊というスタイルだった。

学会場の窓から見える景色。オーストラリア感!

 

こんなところでラボの人たちと泊まり込みで学会、夜は毎日交流会と称する食事会&飲み会。部活の合宿かよ、と言いたくなった。

発表

私の発表は2日目午前のPhD finalistsのセッションだった。アブストが評価されて9人(各学会3人)のfinalistに選ばれていたのだ。

 

ボスには結構前から"No pressure, but talk to win."と言われていた。学会毎に1つ最優秀演題が選ばれるので確率は33%。とはいえ、質疑応答で思いっきりカタコトになる自分にはまあ厳しかろうという個人的な印象。

それでもプレゼンのトレーニングに余念がないのがボスで、学会前にはいつものpractice talkはもちろん、別日に質疑応答だけの練習時間まで設けられた。

 

本番は練習のおかげもあってか10分のプレゼンは無難にこなせたと思う。3分間の質疑応答では4つ質問を受けた。ドンピシャの質問は来なかったが、想定内のものがほとんどだったのでこちらもまずまずの出来だった。もちろん完璧には程遠いのだが。

 

終了後ボスからはめちゃくちゃよかった!!I am so proud of you.とかそんなポジティブな言葉をたくさんかけられた。その日の夜の交流会では酔っ払って「お前が質疑応答まともに全部答えてるとこ初めてみたわw(前日深夜まで飲んでたので)二日酔いで発表する方がいいんじゃないか?とにかくマジで良かったよ」と言っていた。(ちなみに全く二日酔いではなかった。)

 

発表後に見知らぬ人が「良かったよ!」と声をかけてくれたり、発表内容に興味を持って質問に来てくれたり、多少ポジティブな反応が感じられたのも嬉しかった。

 

でも私は分かっている。ボスがめちゃくちゃ褒める=多少慰めの意味も入っている、と。

 

実際、最優秀演題を受賞したのは私の2人あとに発表したPhD学生だった。彼女の発表は内容、質疑応答ともに素晴らしく、誰もが納得の選出だと思う。

 

しかしこの話には続きがあって、学会の最終日に行われた授賞式、彼女が表彰されて「おめでとー!」とぼーっと拍手していたら、何故か次に自分の名前が呼ばれたのだ。

 

え???なに?ってなったけど、とりあえず何かしらの賞をもらったことは分かった。促されるがまま前に出て賞状を受け取って記念撮影。

 

後から調べてみたらFinalist3名から選ばれる最優秀賞の他に、PhD学生発表全てをひっくるめた賞があったらしい。まあ平たくいうと銀メダルということ。金メダルでないが賞は賞、ありがたい。母国語ですらプレゼンが得意でない自分が英語で賞をもらえるなんて、PhDを始めた頃には想像もできなかった。少しは成長してるようだ。

 

連日深夜までの交流会で体力は削られたし、交流の場では相変わらず「存在していることが大事」状態は変わらないので精神的にもかなり疲れた。たださすがに4日間も一緒にいるとそれなりの数の人と顔見知りになって、多少は面白い研究の話やPhDの悲喜交々を共有できたのでよかった。

ワイナリーでミーティング

学会後はアデレードの中心部に移動して別のホテルに宿泊。翌日、うちのグループを中心にした研究グループのミーティング。

 

会場はアデレード在住のICUドクターが持つワイナリー。広大な土地、綺麗に整備された葡萄畑、美しい景色、おしゃれなミーティングルーム、色々凄すぎ。オーストラリアの贅沢な暮らしはこんな感じか、と思った。

贅沢すぎる景色

ワイナリーの小屋?でミーティング

ワイナリーで作られたワインを飲みながらミーティングして夜はシティに戻ってディナー。こちらは以前から顔見知りの人が多くて学会よりはリラックスした雰囲気だった。翌朝早くのフライトでメルボルンに戻ってきて今回の旅は終了。

5泊6日の長旅を終えて

9月末に参加した日本での学会(参加者の多くが日本人、ラボメンバー不在)を除いて、PhD開始後初めてガッツリ学会に参加した今回の旅。自分の研究や発表が評価されて賞までもらえたことは素直に嬉しいことだった。ただ連日の交流会のせい(おかげ)で、本当に部活の合宿のようなスケジュールになり疲れ果てた。おかげでメルボルンに帰ってきた直後に風邪を引いた。

 

一つ気づいたことは、私はやっぱり臨床家(医師)であるということ。今回臨床家(clinician  researcher=医師と研究両方やっている人)はかなり数が少なかったが、やはりそういう人たちの方が話しやすくて安心する。逆に純粋な研究者たちとはどうしても心理的な距離を感じてしまう。自分で勝手に壁を作っているだけなのかもしれないが、この先10年も20年もこの環境の中で生きていく自分の姿はどうしても想像できない。もう9割以上心に決めていたことではあったが、やはりPhDを終えたら(もちろん研究は続けながら)臨床に戻ろうと改めて思った。

 

ちょうど学会中にPhD開始後1年半を迎えたのでその辺はまた別の記事にできたらと思う。