集中治療医のStudy Melbourne

麻酔科系集中治療医が家族4人でオーストラリア・メルボルンへ博士課程留学!初めての海外研究生活、メルボルンライフの模様をお送りします!

クリスマス休暇前の研究の様子

12月に入り、私の周囲はクリスマス休暇へ向けた離陸体制が整いつつある。要はみんな働かなくなってきたってこと。

 

最近はパーティがいくつかあったし、正指導教官(以下若ボス)は早くも休暇入りし、残留組ももう心は半分休暇に入っている感じ。

 

そもそも12/23-1/2は研究所全体が休みになるので、休暇をまたぐような長期の実験はできない。でもそれを考慮しても皆、休み始めるのが早いなあ。

 

と言う私は、年内に終わらせたいプロジェクト(前にも書いたやつ)があり、追い込みで実験をしているところ(このまま行けばちゃんと終わる!)。

 

だけど、 ここ最近は緊張の糸がすっかり緩んでしまって、僅かな空き時間を見つけて真剣にライティング、、、みたいな気力は全くわいてこない。今までの実験結果をパソコンに入力するなどの単純作業を進めるようにはしているが...。

 

こういう長期休暇の前って、やり残したことを終わらせようとペースアップするパターンと、逆にさっさとペースダウンして年明けから再始動するパターンの2通りあると思うが、今の私の周囲では完全に後者が多数派。日本にいた時は(まあ病院だから年末年始もあまり関係ないんだけど)、圧倒的に前者が多かったなぁ。

 

若ボスには「そういえばそのプロジェクト、どれぐらいで終わるの?」と聞かれたので「いや年内にほぼ全部終わらせる予定だよ」って言ったら「え?すごいね。無理しなくていいよ、Don't kill yourself.」って言われた。

 

いや、年内に終わらせい、って前に言われたからこっちは必死なんだよ!なんて思いつつ、来年に持ち越すなんていう甘い誘惑には絶対に乗るまいと頑張っている。(実験がなければ間違いなくダラけた12月になってたはずなので詰め込んどいてよかった)。

 

ちなみにそんな若ボスは上にも書いた通り一足先に休暇入りして、奥様の祖国マレーシアに旅立った。去年まではラボで偉い立場でありながらMBAに通っていた(かなり良い成績で卒業したらしい)超ハイパー人間。5年ぶりぐらいに長期休暇を取るらしい。誰よりも働き者だし、まさにYou deserve it.ってやつだ。ゆっくり休んでほしい。

ボスの退官イベント

副指導教官であり現ラボヘッドでもあるもう1人のボス(教授、以下老ボス)はオフィシャルには年内で引退することになっている。11月末に盛大な退官イベントがあった。

 

数ヶ月前から計画されていたこの会には80名近くが参加。老ボスの晴れ舞台のため、かつての研究仲間たちが海外からも多く集まった。

 

イベントは朝9時から講堂で開始。まず老ボスが15分ほど話し、その後これまで一緒に研究してきた人が順に講演するという形式だった。講演の間にはこの日参加できなかった人たちからのビデオメッセージが放映された。老ボスがこれまでいかにたくさんの功績を残し、そして周囲からの信頼・尊敬を集めてきたかが凝縮された素晴らしいものだった。

 

15時頃に会は終わり、その後は大学近くのバーで立食形式のパーティ。まだまだ慣れない飲み会の場だが、老ボスという大きな接点があるので、初めて会った人とも話がしやすかったように思う。

 

ちなみに引退する老ボスは真面目で超優しい英国紳士。物静かだが発言には深みと説得力があって、彼の言葉には自然に皆が耳を傾ける、そんなタイプの人。超外交的でイケイケな若ボスとは対照的で、そのコントラストがラボに非常に良い影響を与えているように思う。

 

当然、個人的にも死ぬほど世話になっている。そもそも老ボスの救いの手がなければ留学は実現できていなかったし、留学初期に2ヶ月ほど家に滞在させてもらった(家壊してごめんなさい)。自分が彼の最後のPhD学生だというのも密かに誇りに思っている。

 

この日初めて知ったのだが、老ボスがメルボルンに来たのは1989年、自分が生まれた年だった。それからずーっと研究一筋で生き抜いてきたのだ。誰にでもできることではない。そりゃ発言に深みが出るわけだ。

 

こんな人が引退しちゃったらどうなるの、、、と心配になるが、そこは問題なし。あくまで「オフィシャルには」引退するだけ。年明け以降も週に3、4回は普通にラボに来るらしいので、これからも存分に世話になるつもり。

研究所のクリスマスパーティ

老ボス引退イベントの翌日(!)は研究所のクリスマスパーティ(正式名称はEnd of Year Function、functionにイベント・お祝いという意味があるってことを今回知った)。

 

当然夜からだろうと思っていたら昼12時開始。おかしい...。

実験のスケジュールの変更が大変なのでまあ行かなくてもいいかなと思っていたのだが、若ボスに「絶対参加しろよな!」って言われたので参加した。(参加してよかった。)

 

会場はヤラ川に浮かぶバーの上。学生は$15で飲み放題の超お得な価格。

yarrabotanica.com.au

参加者は約300名いたらしく、人口密度がとても高かった。というか研究所にこんなにたくさん人がいたなんて知らなかった。半分以上は見たことない人たち。普段私がいるのが古い研究棟でメインの研究棟の住人たちにはほとんど会わないのだ。

 

例によって音がうるさくてコミュニケーションが大変だったが、初対面の人ともそれなりに話せたと思う。(こうしてみると多少成長しているのかもしれない。)

 

外の会場だったこともあり、2次会も含めてお酒が進み過ぎてしまい、泥酔して帰宅。次の日に結構ひどい二日酔いになった。

初めての学会参加

次の週にはオーストラリアに来て初めて学会に参加した。

 

参加者100〜150名くらいの小さめの国内学会で、今回は大学の敷地内での開催だった(研究所から徒歩5分)。

 

私自身はまだ十分な実験結果がなく発表はなかったが、他のラボメンバーが多く発表してい他ので、それを見て今後の参考にするのが主な参加目的だった。

 

全体の発表の感じとかは想像していた通りで、日本の学会とそんなに変わらない。

 

が、日本の学会と比べると全体的に皆さんプレゼンが上手なこと。普段から喋り慣れてるのだろう。抑揚の付け方とか、日本語と英語の言語的な違いもあるのかなとは思うけど。(一方で、たまに「そんな些細なことを大袈裟に言うと逆に胡散臭く聞こえるよ」って感じることがあるのも事実。)

 

学会発表って研究内容や研究者自体のショーケースでもあるから、自分自身や自分の研究に興味を持ってもらうことがとても大事なのは間違いない。若ボスも「発表者が面白いと思ってない研究の発表なんて、誰も興味持たないだろ?熱意をこめて話すのが大事だ」と常に言っているし。元々プレゼンが得意な方ではないので、その辺をトレーニングするのもPhDに取り組むべきことの1つ。

 

あとは、自分が発表する際にはやはり質問タイムが鬼門であることを再確認。日本では質問なんかあるのは結構稀で、座長が「フロアから質問がないようなので私から…」というのがお決まりのパターンだが、欧米の学会はみんな積極的に質問するよなぁ。

 

もう1つ感じたことは、自分の興味はやっぱり臨床寄りであるということ。今回の発表は臨床研究、基礎研究の割合が1:1ぐらいだったが、コテコテの基礎研究にはあまり魅力を感じなかった。そういう研究に価値がないとはもちろん言わないが、やっぱり実臨床に結びついてこそ面白い、というのが私個人の考え。

 

私自身の研究は基礎研究に分類される。その中では最も臨床寄りではある(いわゆるtranslational research)が、それでも臨床研究に比べると実臨床との結びつきは少し薄くなる。その点に無自覚だと、気付かぬうちに「研究のための研究」みたいになってしまう危険がありそう。自分が興味を持てる研究を続けるためにもその点を忘れないようにしたい。

あと2週間

最初の方にも書いたが、これら(パーティ×2、学会)のイベントが立て続けにあったため、すっかり気が抜けてしまい「あと〇〇日でお休み...」とカウントダウンする日々が続いている。

 

残り2週間、無事走り切ってクリスマス休暇をノンプレッシャーでエンジョイしたい。

 

ちなみにクリスマス休暇中は初の長期旅行(4泊5日)に出かける予定。行き先はラボの同僚に勧められたBrightという田舎町。とても楽しみだ。

www.visitbright.com.au

 

最近行ったヤラ川沿いのカフェ