集中治療医のStudy Melbourne

麻酔科系集中治療医が家族4人でオーストラリア・メルボルンへ博士課程留学!初めての海外研究生活、メルボルンライフの模様をお送りします!

論文アクセプト

日本出発直前に朗報が。

 

ついにオーストラリアに来て初めての論文がアクセプトされた。これで安心して日本に旅立てる。

 

朗報を受け取ったのは月曜朝。起きて携帯を確認して、アクセプトのメールより先にボスの祝福コメントを見た。(ボスは論文がアクセプト度にラボのWhatsupグループにメールのスクショを添えて祝福コメントを載せる。)

論文化までのタイムライン

今回論文になったのは昨年末にやっていた実験。


実験から論文化までのスケジュールはこんな感じ。

  • 2022/10-12 実験
  • 2023/1 サンプルを外部機関に届ける
  • 2023/4 結果を受け取る(その後PhD関連の発表やら審査などで放置)
  • 2023/6 論文を書き始める
  • 2023/7 論文投稿
  • 2023/9 アクセプト

 

投稿からアクセプトまでの流れをもう少し詳しく書くとこんな感じ。

  • 7/3 投稿
  • 7/21 Minor revisionで返ってくる
  • 7/28 再投稿
  • 7/31 事務方から書式などの修正依頼→即日対応
  • 9/11 アクセプト

Reviewerからのフィードバック

投稿先はIF3程度の臨床系雑誌。

Reviewerは2名だった。コメントの内容を見るにどちらも医師だろう。

 

1人目は割と丁寧なフィードバックをくれた。が、追加の実験や大幅な修正は必要がない内容。よかった。書き方的に引用した論文の著者だと思う。

 

2人目はたった2行のコメント。あまりちゃんと読んでないのではと思った。忙しかったのか私の論文に興味がわかなかったのか…

 

そんなこんなで全体的にあっさりとしたコメントだったので、1つ1つ丁寧に対応して、1週間で再投稿。

 

そこからが結構長くて3週間ほど"with editor"の状況が続き、"in review"になって2週間ほどでアクセプトの連絡が来た。

"with editor"の期間が長かったので新たなreviewerを探してるのか?などと邪推したがそんなことはなかった。アクセプトのメールには同じReviewer達からそれぞれ2行くらいのコメント(「指摘した点に対応しているのでOKです」)がついていた。

 

実験自体は結構大変だったけど、追加のmolecular work(例えばタンパクの解析とか)は全くなく非常にシンプル。論文のメインメッセージもシンプル、おまけにReviewerからのコメントもシンプルだったので、非常にスムーズに論文化までたどり着いた。ボスには「次のやつはこんな楽じゃないから覚悟しとけー」と言われた。

 

実はこれには1つ裏話があって、雑誌のChief editorがラストオーサー(レジェンドボス)とかなり仲が良いらしい。彼自身は直接査読には関わってないと思うけどアクセプトへの後押しにはなっていそう。

そんなのあり?と思ったけど、ボスたち曰く、Nature、Science、NEJM、JAMAといった最高峰の雑誌であろうと、編集者たちに顔が知れていることはとても大事なことらしい。(もちろんそうじゃなくても採択されることはたくさんある。)

 

日本人的感覚からするとちょっとフェアじゃない気もするが、海外ではツテとか対外的なアピールがとても大事なことはこの1年ちょっとで何度も体感したから、まあそんなもんかとも思う。いやどうなんだろう。「真面目にやっていればどこかで誰かが見ていてくれる」ではダメ、がここにも適応されるのか?だとしたら自分もボス達のネームバリューが使えるうちに名前を売っとかないといけない。

初めての論文が持つ意義は...

この実験・論文自体は博士論文には含まれない。(もちろんAppendixには載せる。)

 

理由は単純で、半分企業案件だから。

臨床的な価値はあると思うが、「留学してこれをやりました!」と胸を張って言うのはちょっと微妙。

ボスには博士論文に含めてもいいのでは?と言われたがので丁重に断った。

 

でもこの論文は自分にとってはとても価値のあるもの。

 

レジェンドボスと直接やり取りしながら論文を書き上げる。毎回緊張したし死ぬほど直されたがとても良い経験だった。

 

メイン研究の準備としてとても役に立った(だからラボとしてこの実験を引き受けたというのもある)し、何より動物実験をして論文を書き上げるという一連の流れを体感できたのがよかった。

 

経済的にも実績的にもラボにも貢献できて、色んなサポートを受けている身としては少し肩の荷がおりた気分。

 

今は先日終えたPhDプロジェクトの論文を書き始めたところ。

日本から帰ってきたら本格的に取り組んで、年内か年明け早々の投稿を目指す。