集中治療医のStudy Melbourne

麻酔科系集中治療医が家族4人でオーストラリア・メルボルンへ博士課程留学!初めての海外研究生活、メルボルンライフの模様をお送りします!

奨学金獲得のために

前回は奨学金の概要について書きました。
今回は奨学金を獲得するために何ができるかを書きたいと思います。

大学を良い成績で卒業する

前回も書いたように、大学院からの奨学金は出願時に自動的にapplyされるようになっているものが多いです。評価基準も共通のものになっています。
(大学院自体の合格基準に達している人の中で、さらにそその一部が奨学金を受け取ることができる。)


具体的な評価基準は大学や学部毎に異なると思いますが、概ね似たようなものになっているようです。


例えばメルボルン大学院(医学部)はこれ。
study.unimelb.edu.au

モナッシュ大学院はこれ。
www.monash.edu


全体的に言えることとしては、海外の奨学金については最終学歴の成績がかなり重視されるということ。


日本とは違い、有名大学か否かはあまり重要ではなく、学生時代にどれだけきちんとやっていたかが問われると聞きます。


また、日本学生支援機構(JASSO)の奨学金も成績に関する厳しい条件があります。


まあ多くの人にとって「そんなの今更言われても無理だわ」という感じですよね。私も大学時代はあまり真面目に勉強していなくて、成績は「中の上」ぐらいでした。

JASSOの条件にはカスリもしませんでしたし、留学先の大学院から見るとウ◯チみたいな成績だったと思います。


「成績が大事って知ってたらもっとちゃんとやってたわ」とも思いますが、仕方ない。まさに後悔先に立たず。


ただ、基本的には「最終学歴」の成績が大字のようですので、現在大学院に在籍中または今後在籍する予定がある人は少しでも良い成績で卒業できるよう頑張りましょう。


奥の手として、短期間で卒業できる社会人大学院に入り、良い成績で卒業するという方法もあるます。大学院で学びたい内容あればあれば一石二鳥かもしれません。

実績を作る

特に研究留学の場合は研究実績があると有利です。


可能なら論文や学会発表を少しでも多く書きましょう。


しかし、「既に華麗な研究実績があればそもそも留学なんて行かんわ!研究するためには研究実績が必要とか言われても無理だわ!」という本音も理解できます。


私も研究実績はほとんどありませんでした。数少ない英語論文や学会発表を絞り出して履歴書(CV)に書きました。


あとは麻酔・集中治療・救急領域の臨床医として、資格を取得した、これだけの経験してきたことをアピールしました。


実際どこまで役に立ったかは分かりませんが、割と臨床に近い研究をしている研究室ですので、「臨床での経験が役立つはず」とアピールしました。


ただ1つ感じたことは、


「とにかく臨床を頑張って、多くの患者を診療してきた」だけでは海外においては全くアピールにならなそう


ということです。


「心臓大血管手術、重症呼吸不全、敗血症、心肺停止蘇生後、重症外傷、COVID-19などたくさんの重症患者を見てきた」とはCVに書きはしましたが、なんだか薄っぺらい感じがしました。もしかしたら就活時の「部活で副部長でした」ぐらいの薄っぺらさかもしれません。


豊富な研究経験はないにしろ、資格(専門医など)、学会発表、論文など、中身のある実績が必要だと感じました。


これから留学を目指す人は今からでも遅くないので、何かしら形あるものを残すことが大切だと思います。

良い推薦状を得る

別の記事にも書く予定ですが、推薦状も選考には含まれています。


実際どの程度影響するのかよく分かりませんが、自分のことをよく分かってくれている人(良い推薦状が書ける)、その世界で有名で信頼度が高い人に書いてもらえるとプラスになるのかなとは思います。

奨学金が求める人物像を理解する

日本の奨学金に関しては、書類選考→面接という流れが基本です。


その際、当然ですが、これまでの活動・研究や留学先での活動内容をアピールします。


そして同時に、自身の将来像を財団(奨学金)の理念と関連させて述べることが必ず求められます。


大事なことは、募集要項の「奨学金の目的・財団の理念」「募集の対象となる人材像」をよく読み、それに即したアピールをすることです。


例えば...

応募する奨学金の募集要項に、「将来日本をリードする人材になることを期待する」と書かれていたとします。

留学終了後のプランに関して問われた時、「現地に残って仕事を見つけたい」と思っていたとして、それを応募書類に書くのはどうでしょうか?


おそらくNGです。


「留学後は日本に戻り、留学中の経験を活かして日本をリードする存在になりたい」が正解です。


(究極的にはそういうつもりがないなら奨学金の理念と合わないので応募しない方が良い、ということになりますがここでは堅いことは置いておきます。)


と言うことで募集要項の「奨学金の目的・財団の理念」「募集の対象となる人材像」欄は穴が開くほど読みましょう。


さらに私は応募のために自分が用意した文章を先輩や留学経験者に読んで添削をしてもらいました。これもかなりオススメです。

終わりに

ここまで読んで、


結局あんまり出来ることなくない?


と思った人、いませんか?


...その通りです。


正直、即効性のある対策はないんですよね。


日々コツコツやれることをやる、ただ「頑張っています」ではなく形あるものを残す、応募時には求められる内容を準備する、ということです。


奨学金獲得は確かに競争率も高く大変ですが、「人事を尽くして天命を待つ」が大事です。できることをやりましょう!


余談ですが、今回留学準備期間中、特に日本の奨学金応募時に、キャリアプランの発表や自己アピールをする機会が多くありました。妻曰く、「まさに就活でやることと同じ」だそうです。


これは、これまでの人生で「ザ・就活」的なものを経験したことがなかった私にとって、とても新鮮&大変でした。(学年の若い医師の就職までの流れは結構特殊なのです。)


おそらく医師で留学を目指す人は同じように感じるのではないでしょうか。


これまでの人生を振り返ってみたり、自分の強み(弱み)はなんだろうと考えてみたり、意外と色々積み上げてきたんだなあと思う瞬間もあれば、自分はどれだけの時間を無駄にしてきたんだろうと思うこともありました。


同じことを何度もやりたいかというとそんなこともないけど、一度経験しておくのはいいかなと思いました。