集中治療医のStudy Melbourne

麻酔科系集中治療医が家族4人でオーストラリア・メルボルンへ博士課程留学!初めての海外研究生活、メルボルンライフの模様をお送りします!

元旦から病院

明けましておめでとうございます。

 

クリスマスの旅行を記事にしようと思っていたが、その前に元旦の出来事を書く。

 

旅行から帰ってきた後は数日間特に遠出はせず、お互いの両親とテレビ電話をしたり近くの公園に遊びに行ったり、のんびり過ごしていた。

 

晦日は日本人の先輩の家でBBQ。このまま穏やかに新年を迎えるんだ…と思っていたらそうもいかなかった。

様子がおかしい息子

先輩の家で遊んでいる途中から息子の機嫌が異常に悪くなった。昼寝をさせても不機嫌は全く治らず。

 

家に連れ帰った後も様子がおかしい。

熱でも出る前兆か?と思ったが熱はない。夕飯も食べずに寝続け、身体を触ると大声で泣き出すという状況。

 

妻は偉く心配して「今すぐ病院に連れて行くか」という話にもなったが、不機嫌以外は症状が不明な状況で連れていっても医療者側も困ってしまうだろう。自分で診察する限り一刻を争う状況には思えない。

 

それにここはオーストラリア、しかもホリデー中。これまで予防接種関連でGPに行った以外は病院にかかっていないので、一体どういうシステムで、どこの救急に連れていけばいいのか全く把握していなかった。

 

結局、とりあえず経過観察しつつその間に色々と情報収集することにした。

 

そのうち息子のだんだん眠りが深くなってきて、右股関節を痛がっていることがわかった。右足を全然動かさない、寝返りも打たない。無理やり起こしてみたが、もちろん歩けない。

 

可能な限りで調べてみると「単純性股関節炎」が最も可能性が高そうだった。好発年齢よりは少し若いが、症状・経過は典型的だった。鎮痛剤で安静にしていれば数日〜2週間程度で治るようだ。ただ、友人宅で激しく遊んでいたし外傷による骨折は可能性は低いが否定しておきたいところだ。

 

とにかく歩けないほど痛がっているので、一度病院で診察は受けておこうと決めた。おそらくX線で骨折がないかを確認する感じになるだろうけど。

 

で肝心の救急病院事情。

Googleで小児の救急対応をしている病院を探す。さらには仲の良い日本人医師が電話で親切に色々教えてくれた。(本当にありがたかった。)

 

・家から20分ぐらいの病院が最寄りで小児&整形関連の救急対応が可能。(しかも彼が働く病院。)

・夜間は人手が少なめで待ち時間も長い。朝8時前ぐらいに行くとスムーズに診察が受けられる。

 

これを聞いて、翌朝まだ痛がっていたら病院に連れて行くことに決めた。

 

自分の診察で診断もほぼついているし、やるべきこともある程度わかったが、なんだか不安で寝付けなくなり、そのうちに0時を迎えた。

 

外から歓声が聞こえ、西向きの窓からはシティで上がる花火が見えた。

元旦朝8時に病院へ

翌朝、息子は少し機嫌は良くなったものの痛みでベッドから起き上がれず、朝8時に車で病院へ。

 

救急用入口で名前や連絡先を記入、マスクをして中へ。人はまばらだった。

 

トリアージナースに簡単な診察を受け、その場で症状や経過などを聞かれた。すぐに担当の医師から鎮痛剤を飲ませて様子を見ること、X線を撮影することを伝えられた。

 

その後正確な体重が不明だったので体重を測り、経口の鎮痛剤シロップを2種類もらって飲ませた。

 

待ち時間の間に事務のスタッフに呼ばれて自宅の住所や保険のことをなどを聞かれた。

 

しばらくするとX線に呼ばれ、親同伴で撮影。救急の観察室的なところへ移動して少し待った。

 

この辺りの流れ、日本の救急外来とほとんど同じだった。

 

近くの電子カルテの前では、医師らしき2名がX線を見ながら小さな声で話し合っていた。多分若めの後期研修医と少し上の救急医(か当番医)。画像をダブルチェックし、方針を上級医に確認している様子だった。これも日本で良くある光景。

 

で若手医師がやってきて、再度簡単な診察と問診、その後X線画像で骨折などの異常がないこと、おそらく軽度の関節炎であること(単純性股関節炎?と聞いたがその診断がつくほど重いものではないかもしれないと言われた)、鎮痛剤で経過観察していれば軽快するであろうこと。高熱が出たり全身状態が悪くなるようなら再度受診すること(化膿性関節炎を想定しているのだろう)などの説明を受けた。

 

「小児や整形外科は専門ではないが一応日本で医師やってるのでX線自分で見ても良いですか?」と聞いたら「どうぞどうぞ」と言われて見せてもらった。確かに大きな問題はなさそうだった。

 

これで診察は終了。ここまで来院から1時間ちょっと。かなりスムーズだった。友人に感謝。

 

日本なら病院から鎮痛剤の処方が出るところだが、こちらでは鎮痛剤は自分で薬局で買ってね、ということのようだった。

診察後

受付で待っていると再度事務から声がかかり、料金体系の説明を受けた。救急診療だと基本が$440。さらに検査や入院になると料金が加算される仕組みのようだ。

 

留学生である私はMedicareカードはなく、海外学生保険(OHSC)でカバーされることになるので、いくつか追加書類にサインが必要と言われてサインした。

 

この場でいくらか支払う(その後保険会社にClaimをかける)システムかと認識していたが、この日は支払いは必要なく、、後日請求書が自宅に届くのでそれに従って支払ってねと言われた。(詳細はよく分からない。)

 

帰り道に鎮痛剤を購入して帰宅。

感想

日本で自分がやっていた救急とシステム、診察の流れはほとんど同じ。これには少しびっくりした。(受診がスムーズに済んだのは色々アドバイスをくれた友人のおかげ。)

 

スタッフも無愛想すぎずフレンドリーすぎず、その辺も印象が良かった。

 

それでも、見知らぬ土地で英語で病院受診というのはかなりハードルが高かった。

 

そんな息子は鎮痛剤が効いたのか自然経過か(おそらく後者)、帰宅後歩き出し、夕方には走るようになった。親としては安心だが、あの心配はなんだったのだろうか、、、。

 

まだ痛み自体は残っているようなのでもうしばらく経過観察が必要だが、おそらく問題ないだろう。

最後に

ということで、初めてのオーストラリアでの年越しはドタバタだった。

 

というか、そもそも季節も真逆だし全く年越し感がない。

慣れの問題かもしれないが、オーストラリアの年末年始には趣が全く感じられない。というのが正直な感想。日本の年末年始の特別感を味わいたくなった。